研究課題/領域番号 |
12770127
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奈良 武司 順天堂大学, 医学部, 助手 (40276473)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Trypanosoma cruzi / 細胞分化 / ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ / ピリミジン生合成経路 / 遺伝子導入 / 遺伝子破壊 / トリパノソーマ / metacyclogenesis / 発現スクリーニング / dihydroorotate dehydrogenase |
研究概要 |
細胞分化は、多くの分子生物学的、生化学的プロセスによって成立する。シャーガス病の病原体であるTrypanosoma cruziは、臨床的に重要であるのみならず、昆虫型、感染型、細胞内寄生型といった多様な発育段階をとることから、細胞分化を解析するモデル生物としても適している。筆者は平成12年度までに、ピリミジン生合成経路の第4酵素ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHOD)を過剰発現するT.cruzi株において、昆虫型から感染型への転換効率が低下すること、T.cruziの組換え体DHODが哺乳類DHODとは異なり、フマル酸還元活性を持つ(コハク酸が生じる)ことをすでに明らかにした(投稿準備中)。本年度はさらに研究を進め、DHOD発現抑制株を確立してその表現型を解析するとともに、DHOD過剰発現株をin vitro感染系、および哺乳類感染系に移し、感染型と細胞内寄生型間の転換における、DHOD過剰発現の与える影響を解析した。 相同組換えによるDHODの遺伝子破壊を行ったところ、3コピーあるDHOD遺伝子のうち2ケ所を破壊するとDHODは検出されなくなり、表現型は致死となった。この致死性はピリミジンサルベージ経路の基質を加えても救済されなかった。これらの結果は、DHODがピリミジン合成以外の機能を合わせ持ち、発育期の転換に関与していると同時に、T.cruziの生存にとって必須であることを示している(投稿準備中)。現在そのメカニズムの解析を始めている。 DHOD過剰発現株については、マウスに感染させた場合、対照群と比較して血中原虫数が有意に減少した。また、感染型虫体を哺乳類培養細胞と共培養した場合、培養細胞は接着性を失い、3日以内に死滅した。感染力のない昆虫型虫体との共培養においても同様であった。これらの結果は、DHOD過剰発現株の代謝産物中に宿主細胞の生育を強く阻害する物質が含まれることを示唆している。現在、DHOD過剰発現株の培養上清、および細胞分画を用いて原因物質の同定を進めている。
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