研究概要 |
メチシリンおよびバンコマイシン耐性に関与する因子の解明について平成13年度の研究計画に従い以下に示す2つの面から検討した。 (1)細胞壁合成系に関与する因子の発現量についての検討 平成12年度に分離したバンコマイシン耐性変異株について、細胞壁合成系に関与する5つのペニシリン結合タンパク(PBP)についてウェスタンブロッティング法によりそれぞれの発現量を親株と比較検討した。まず、5つのPBPのリコンビナントタンパクを作製、精製し、それぞれのタンパクをウサギに免疫し抗血清を得た。得られた抗血清を用いてウェスタンブロッティングを行った結果、それぞれの発現量は親株と変化が認められなかった。細胞壁合成系の遺伝子であるglmM, glmUについても同様の方法で発現量について検討したが変化は認められなかった。また、ゲノム解析から明らかになった2つのmonofunctional transglycosylaseのうち一つ(sgtA)についても同様の方法で検討を行ったが両株ともその発現は認められなかった。 (2)細胞壁合成系に関与する遺伝子の不活性化 細胞壁合成に関与する遺伝子であるfemA, glmM, fmtB, fmtCのトランスポゾン挿入変異株より形質導入法を用いて分離したバンコマイシン耐性変異株にそれぞれの形質を移入した。得られた変異株のメチシリン・バンコマイシンについての感受性を検討したところ、メチシリンの耐性度は全ての株で減少し、femA, glmM, fmtB変異株ではバンコマイシンの耐性度も減少した。
|