研究課題/領域番号 |
12770147
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
泉谷 秀昌 国立感染症研究所, 細菌部, 研究員 (30291123)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 腸管出血性大腸菌 / 接着因子 / intimin / tir |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC/STEC)および腸管病原性大腸菌(EPEC)は、Locus of Enterocyte Effacement(LEE)と呼ばれる病原性遺伝子領域を有す。本領域には、菌体が宿主の腸管上皮細胞に接着するために必須のIntiminおよびその受容体であるTir、さらにTir等の宿主細胞に移送されるEsp蛋白質およびそれらエフェクター蛋白質を宿主細胞に移送するための分泌装置(type III secretion apparatus)がコードされている。 Intiminは菌体の外膜に存在する蛋白質であり、そのC端においてTirと結合する。一方、Tirは上記分泌装置により宿主細胞に注入され、その細胞膜に局在しIntiminの受容体として機能する。この両者の結合によっで、細菌と宿主細胞との間に緊密な接着が成立する。それとともに、宿主細胞内のアクチンを中心とした細胞骨格の再編を惹起し、接着部分において台座構造(pedestal)が形成される。 本研究では、こうしたIntiminとTirによって生じる接着機構の成立およびそれと同時に起こる宿主細胞内の分子情報伝達系の解明を目指している。具体的にはyeast two hybrid法を使用してこれら病原因子と相互作用する宿主細胞側の因子を探索する。これまでに、Tirに着目し、これをEHECおよびEPECよりクローン化し、two hybrid用のベクターに組み込んだプラスミドを構築した。これを用いて、HeLa細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングした。幾つかの候補となるクローンが分離されてきており、その中にはユビキチン様の構造を有するものも含まれていた。Tir側をサブクローン化し、これら候補がTirのN端側に結合することが示唆された。また、これらはEHECのTirのみならず、EPECのTirとも結合することが示唆された。各蛋白質を大腸菌で生産させ、精製し、in vitroでの結合実験を行ったところ、実際に結合が見られた。本クローンはアポトーシスなどに関与することがショウジョウバエで示唆されており、以上の結果はTirが接着以外にも種々の反応を宿主細胞内で引き起こしている可能性を示唆している。
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