研究課題/領域番号 |
12770152
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
花渕 志野 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00301151)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | HTLV-I / ATL / animal model / CTL / epitope / vaccine |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)は、日本に多くの保有者を持つヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)の感染によって引き起こされる腫癌性疾患であるが、化学療法剤に抵抗性であるため、極めて予後の悪い悪性腫瘍とされてきた。一方で種々の臨床的観察から、宿主細胞性免疫、特にキラ-T細胞(CTL)の抗腫瘍効果が示唆されてきた。そこで、宿主免疫を応用した治療法開発のために、我々の樹立したATL様疾患動物モデルを用い、HTLV-Iに対して生体内で抗腫瘍効果を有するCTLの認識抗原およびその主要エピトープを新規に同定した.まず、我々の樹立したHTLV-I感染腫癌細胞株FPMI-VlAXで免疫したラット由来脾臓T細胞の抗原特異性を検討したところ、HTLV-ITax特異的な細胞障害活性を示すことが明らかとなった。そこで、HTLV-I感染腫瘍細胞株で免疫したラット脾臓T細胞よりTax特異的CD8陽性CTL細胞株を樹立し、その細胞株を用いてエピトープマッピングを行った。Taxのアミノ酸配列に基づいて合成したオリゴペプチドを用いてスクリーニングを行ったところ、F344 strainラット由来Tax.特異的CTL細胞株の認識する中心エピトープがTax180-188にあることが明らかとなった.次に、我々が樹立した動物モデルを用いてTax180-188を免疫原としたペプチドワクチンの生体内抗腫瘍効果を検討したところ、Tax180-188とアジュバンドImmunestimulatory sequence-Oligodeoxynucleotides(ISS-ODN)で免疫したラット群でのみ強い腫瘍増殖抑制効果が認められた。以上の結果から、今回我々が同定した腫瘍抗原エピトープの合成ペプチドを免疫原とし、適当なアジュバンドを用いることによって免疫正常ラットにベプチド特異的なCTLが誘導可能であること、また、誘導されたCTLはHTLV-I感染腫瘍細胞の生体内増殖を強く抑制しうることが明らかとなった。これらの結果は、我々の同定したエピトープが単独で生体内腫瘍拒絶抗原として働きうること、さらに、本実験系がワクチンの開発モデルとして極めて有用であることを示している。
|