慢性炎症性疾患に合併する続発性アミロイドーシスでは急性炎症蛋白である血清アミロイドA(SAA1、SAA2)に由来するAAアミロイドが沈着する。SAA1のγ遺伝子(SAA1.3)さらにはプロモーター領域の-13T SNPが、本症の危険因子であるが、その機序は不明である。SAA1α、β、γのアミノ酸配列の違いによりアミロイド原性や代謝が異なるか、SAA1 genotypeにより蛋白産生量が異なる可能性が考えられる。SAA1 genotypeの違いによる血中SAA濃度への影響をみるため、SAA蛋白をSAA1とSAA2蛋白に分離し測定した。 SAA2 genotypeがα/αでかつSAA1は各genotypeのhomozygoteである活動性の高いRA患者血清より等電点電気泳動にてSAA1とSAA2を分離、SAA産生の程度をCRPと比較することで補正し、検討した。SAA1は、総SAAの70-100%を占め、SAA2は軽微な炎症ではほとんど検出されず、CRPが高くなるにつれ増加した。SAA1/CRP比はSAA1βで最も高く(9.9±5.5)、SAA1α(4.7±3.1)とγ(4.0±3.8)では低値であった。マウスの実験では、アミロイド原性蛋白はアミロイド非原性蛋白よりむしろ血中濃度が低くなることが報告されており、本結果も同様な現象を示唆する可能性がある。 一方、SAAは血中ではHDLに結合して存在し、炎症時にはHDLコレステロール、総コレステロール、ApoA-Iの低下を招く。われわれの検討では、RA患者のSAA1 phenotypeにより炎症時のApoA-Iへの影響に差がみられ、HDLとSAA1の結合力が各phenotypeで異なる可能性がある。今後SAA1蛋白のHDLとの親和性、代謝、沈着の違いを検討する予定である。
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