培養し活性化した星細胞にVEGFを添加するとVEGFR-1を介して情報が伝達される。 一方、類洞内皮細胞では、VEGFR-2を介してMAPKを活性化し、情報がコントロールされている。VEGFの作用が両細胞で異なることを考慮すると、活性化星細胞ではVEGFR-1からMAPK以外の伝達系が活性化されていると考えられる。昨年度の研究にて、活性化肝星細胞におけるVEGFを介する細胞内シグナルは、類洞内皮細胞と異なりPKC・MAPK以外の系を介して伝達され得ると報告し、今年度はPI3Kに注目して検討を行った。 活性化星細胞のDNA合成は、FCS添加群では非添加群と比較し高度であったが、VEGFを添加しても変化は見られなかった。そこで、各種PKC、MAPK、PI3K阻害薬を添加すると、何れの場合でも抑制された。 次に細胞内シグナルを観察した。MAPKのリン酸化は、FCS添加群では亢進していた。さらにVEGFを添加するが、変化は認められなかった。また、PKC阻害薬を添加すると抑制したが、PI3K阻害薬では変化しなかった。P13Kのリン酸化は、FCS添加群でVEGFを添加すると亢進した。しかし、PKC、MAPK阻害薬を添加すると、そのリン酸化は抑制され、これらにVEGFを添加しても亢進は見られなかった。 活性化星細胞ではPKC・MAPK系とPI3Kの両経路が活性化しており、これらが増殖に関与すると考えられた。一方、VEGFはMAPKのリン酸化に依存してP13Kのリン酸化を誘導すると考えられた。
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