研究概要 |
平成13年度は、ovalbumin(OVA)感作喘息ラットを用い、in vivoにおけるネブライザーによるポリ(ADP-ribose)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤のNF-kBの活性化の抑制、さらには気道炎症の改善の程度を検討した。OVA感作喘息ラットは、腹腔内へのOVA3日間連続投与にて作製した。感作ラットへのさらなるOVAの気道投与がNF-kBの活性化、さらには気道の炎症をもたらすことが報告されており、i)OVA投与のみ、ii)OVA+PARP阻害剤投与、iii)コントロール1(OVA感作+生食投与)、iv)コントロール2(生食感作+生食投与)の4群に分け、投与後1,2,4,6hrの間隔で屠殺、両肺のホモジュネートより核蛋白を抽出し、NF-kBのプローブを用い、electrophoretic mobility shift assayを施行した。内部コントロールとして抗原刺激およびPARP阻害剤の影響を受けない転写因子であるSP-1のプローブにより得られたbandのintensityとの比較により、阻害の程度を検討した。1%のOVAを15分間吸入し、PARP阻害剤として、3-aminobenzamideを10mg/kgの濃度でOVA吸入投与1hr前に投与したところ、OVA+PARP阻害剤投与群において投与後1,2hrにおいてNF-kBのband intensityが約1/3に減弱した。さらに、同様に4群を用い、刺激後、1および4時間後に屠殺後、両肺よりmRNAを抽出後、Northern analysisによりIL-1β,TNF-αの発現量を比較したところ、刺激後、1hrにおいて両サトカインの発現が約1/2に減弱した。以上の結果より、in vivoにおいて、PARP阻害剤がNF-kBのDNA結合を抑制することにより、炎症性サイトインの発現を減弱させることが明らかにされ、気管支喘息の新しい治療となりうることが示唆された。
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