研究課題/領域番号 |
12770313
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 森太郎 新潟大学, 脳研究所, 助手 (60293239)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | タウ蛋白 / exon 1 / FTDP-17 / グリア細胞 / PSP / CBD / タウオパチー / 高齢発症 / exon1 |
研究概要 |
本年度は昨年度新たに発見された、タウ遺伝子exn1にR5Hの変異を有するfrontotemporaldementia(FTDP-17)の症例について、まず分子生物学的見地から新たな検討を加えた。 1.R5H変異例において異常沈着しているタウ蛋白は、Salkosyl不可溶成分ではいわゆる4-repeatタウが主体であったが、Salkosyl可溶成分では4-repeatタウの優位性は明らかではなかった。またRT-PCR解析によって、この遺伝子変異を有する症例におけるmRNAの発現をみたが、exon10を含む4-repeatタウと含まない3-repeatタウとの間に明らかな発現の差は認められなかった。 2.R5Hの変異により、タウの微小管の結合能が低下することが判明した。 3.R5H変異を有する4-repeatタウは、正常の4-repeatタウに比べ線維形成能が高いことが実験的に示された。 一方米国で、孤発性の進行性核上性麻庫(PSP)と診断された症例において、R5Lというアミノ酸は異なりながら同じexon 1の部位に変異を有する例が発見されたことから、この部位の変異が病態形成に大きく関与していることがより明らかになるとともに、これまで孤発性のタウオパチーと診断されていたものの中にも同様の変異を有する症例が隠れている可能性が考えられた。この為、当研究所において過去にPSP及び皮質基底核変性症と病理組織学的に診断された15例についてタウ遺伝子exon 1変異の有無を検討したが、現在までのところ、同様の変異は認められていない。 本研究によって明らかとなったタウ遺伝子exon 1変異例の特徴の一つは、高齢発症という点である。本研究によって、家族歴が明らかではなく孤発性疾患とされているものの中にも、遺伝子異常がその原因となる疾患が存在する可能性が明らかとなった。
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