研究概要 |
Machado-Joseph病患者2例(体細胞のリピート数:患者A;70,患者B;81)の剖検脳より,小脳の凍結切片を作成した.Laser capture micro dissection法により小脳の細胞層(分子層,Purkinje細胞層,顆粒層,白質)毎に細胞群を分離し,DNAを抽出し,PCRを行い,リピート数を決定した. その結果,リピート数は,患者Aの分子層:68.97±0.36(n=33),Purkinje細胞層:68.50±0.49(n=36),顆粒層:69.50±0.23(n=36),白質:70.10±0.37(n=30)であった.分子層・Purkinje細胞層・顆粒層と白質の間で,各々リピート数に有意差を認めた.(Mann-Whitney test, P<0.05)患者Bの分子層:81.04±0.23(n=23),Purkinje細胞層:80.52±0.40(n=27),顆粒層:81.29±0.19(n=38),白質:81.80±0.12(n=25)であった.分子層・Purkinje細胞層・顆粒層と白質の間で,各々リピート数に有意差を認めた.(Mann-Whitney test, P<0.05) 今回の実験より,分子層・Purkinje細胞層・顆粒層のリピート数が,白質のリピート数より有意に短いという結果が得られた.これらの結果は,小脳皮質のリピート数が,白質より短いという従来の報告と一致する.同じCAG repeat病であるDRPLAでは,顆粒層が小脳皮質の中では最も短いリピート数を示している.一方Machado-Joseph病では,今回の実験結果より,小脳皮質の層別にはリピート数は有意差がなかったが,顆粒層>分子層>Purkinje細胞層の順にrepeat数が短くなる傾向にあった.
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