研究課題/領域番号 |
12770348
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 衛 岩手医科大学, 医学部, 助手 (90305996)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 心不全 / 腫瘍壊死因子-α変換酵素 / 腫瘍壊死因子-α / Real-time RT-PCR / Immunhistochemistry / 心筋炎 / mRNA / real-time RT-PCR / 分子生物学 / サイトカイン |
研究概要 |
本研究では、心筋炎による心不至症例を対象とし、心筋生検組織での心筋内腫瘍壊死因子-α(TNF)およびその調節因子である腫瘍壊死因子-α変換酵素(TACE)とToll様受容体4(TLR4)の発現について分子生物学的検討を行った。 対象:心筋炎により心不全を呈した14例(男性10例、女性4例、平均年齢37±5歳)および対照5例(男性3例、女性2例、平均年齢48±15歳)より採取した心筋生検組織を対象とした。重症心筋炎症例6例(NYHA IV度)では、急性期(発症から1週間以内)およぴ治癒期(発症から4週間以上)の2回にわたり心筋生検を施行し検索した。 方法:心筋内TNF、TACEおよびTLR4 mRNAの発現量はReal-time RT-PCRにより定量化した。TNF、TACEおよびTLR4蛋白の発現部位は免疫組織化学染色法により同定した。また、これらの発現と臨床指標との関連について比較検討した。 結果:TNF、TACEおよびTLR4 mRNAの発現量は、対照群と比較し心筋炎群でいずれも高値を示した。心筋炎群でのTNFとTACE mRNAの発現量およびTNFとTLR4 mRNAの発現量には、正の相関を認めた。重症心筋炎例でのTNFとTACE mRNAの発現量は、2回目の心筋生検で1回目に比べ有意に減少した。TNF、TACEおよびTLR4蛋白は、いずれも心筋細胞の細胞質と間質へ浸潤した炎症性細胞(リンパ球、マクロファージ)で陽性像を認めた。 TNF、TACEおよびTLR4 mRNAの発現量は、左室駆出率と負の相関を認め、左室収縮末期径と正の相関を認めた。また、TNFとTACE mRNAの発現量は、NYHA IIIおよびIV度の症例でIおよびIIと比較し有意に高値を示した。 結語:心筋炎の発症には、TLR4とTACEの発現を介した腫瘍壊死因子-αのカスケードの活性化が関与していることが考えられた。また、TNF、TACEおよびTLR4の発現は、心筋炎の重症度と関連することが示唆された。
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