研究概要 |
心筋肥大の過程における転写因子(RTEF-1)の役割を解明するために以下について検討した。 目的1:TEF-1およびRTEF-1との機能的違いを明らかにするためにtransfection assayを用いてSKAの発現にどのdomainsが重要かをdomainsを入れ替えて検討した(RT=RTEF-1N末端-TEA domain-TEF-1C末端、TR=TEF-1N末端-TEA domain-RTEF-1C末端)。効果判定として、CAT assayを用いてChloramphenicol acetyl transferase(CAT)活性を測定した。 結果:Expression VectorのSKA promoterに対する効果はphenylephrine刺激におけるRTEF-1のactivityを100%として比較検討した。TRは抑制傾向であったが有意ではなかった。一方、RTはactivityを有意に抑制した。 目的2:α1ARシグナリングにおけるRTEF-1とPKCおよびMAPKとの関与を明らかにするためにRTEF-1に存在するPKCおよびMAPK siteにpoint mutationを行い、wild typeおよびmutant RTEF-1の機能を上記目的1と同様にtransfection assaysを用い比較検討した。 結果:それぞれのmutant RTEF-1のSKA promoterに対する効果はphenylephrine刺激におけるwild type RTEF-1のactivityを100%として比較検討した。C末端のR254,R290,R358は抑制傾向であったが、有意ではなかった。一方、R322は70% reductionと有意に抑制した。 以上より心筋肥大の過程においてRTEF-1は重要な役割を果たしており、特にRTEF-1C末端(Ser322)が重要でありdominant negativeなRTEF-1を見いだす事は心筋肥大に対する遺伝子治療の確立と成り得る可能性が期待できるものと思われた。本年度はin vivoでの心筋肥大におけるRTEF-1の役割を検討する予定である。
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