研究概要 |
神経芽細胞腫には,ガングリオシドが大量に含まれており,担癌患者においては血清中にもガングリオシドの放出が認められる.神経芽細胞腫患者のガングリオシド分析は,組織や血清にて検討されてはいるが,報告は少ない.神経芽細胞腫において,N-myc遺伝子増幅の有無,年齢により放出されるgglのパターンに相違がある可能性があり,再検討した. 対象は,本大学附属病院小児科に入院中,もしくは寛解に達し,外来経過観察中の神経芽細胞腫症例,または神経芽細胞腫マススクリーニング陽性により精査入院となった患児,分子生物学的,病期,年齢などより,1群(予後良好群),2群(予後不良群),3群(寛解群),4群(正常コントロール)に分類し,それぞれの血清中のガングリオシドを測定した.具体的には,それぞれ血清1mlを採取し,抽出,resorcinol法にて定量,高速薄層クロマトグラフィー展開後,呈色し,densitometryにて%分布を測定した.1群、2群ともにGM2,GD2が組織中で上昇しており,かつ血清中においても増加していた.また,GD2は2群の方がその上昇度は高い傾向にあり,GD2の測定が神経芽細胞種の成熟度および予後判定に有用である可能性が示唆された.一方,3群においても同様にGM2,GD2の増加が認められており,この原因については今後の検討が必要と思われる.以上より,ガングリオシドの測定が,生化学見地から,微小残存腫瘍検出,または再発の早期発見の新たな手段となりうる可能性がある. 今後、抗GD2抗体を用いて、ELISA法にて、より簡便に測定ができるシステムを確立する予定である.
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