研究概要 |
平成13年度の研究では,幼若ラットに,カイニン酸投与によって痙攣重積を起こし,痙攣重積後の一定期間の後,脳における神経成長因子受容体の変化および,神経組織の形態変化を観察した. 日齢10-14の幼若ラットを痙撃群とコントロール群に分け,痙攣群には4mg/kgのカイニン酸を腹腔内とうよし,痙攣重積状態が2時間持続したことを確認した.対照群には生理食塩水を腹腔内投与した.痙攣重積後,24時間,48時間,72時間経過した時点で,痙攣群とそれに相応する日齢の対照群を深麻酔下に潅流固定した後,凍結切片を作成し,一般染色および免疫組織学的染色を行い検討した.一般染色はニッスル染色およびヘマトキシリン染色を用いて脳組織の形態を観察し,免疫染色は,神経成長因子の受容体の一つであるTrk-B受容体の発現を検討した. 形態学的には痙攣群で48時間および72時間後には海馬において,コントロール群に比して,ごく軽度の神経細胞の脱落が観察された.一方,免疫組織学的染色では痙攣群および対照群ともTrk-Bの発現が観察され,視察的には両者に有意な差は見られなかった. 今回の結果では,未熟脳に対する,痙攣重積による神経成長因子の一つであるTrk-Bについて明らかな変化は見られなかった.今後実験条件の変更や,他の神経成長因子やapoptosisについても検討する予定である.
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