研究課題/領域番号 |
12770400
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
後藤 知英 慶應大, 医学部, 助手 (50317179)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 大脳皮質発生 / 細胞周期 / p27 / 分化誘導 / ノックアウトマウス / GABA / 幹細胞 / 特異的増殖パターン |
研究概要 |
緒言: p27は細胞周期調節に関与し、細胞増殖を抑制、分化を誘導することにより、組織発生において重要な役割を果たしていると考えられている。p27ノックアウトマウス(p27KO)では全身の臓器が約30%増大することが知られている。本研究ではp27KOの大脳皮質構造を野生種(WT)と比較することにより、p27の大脳皮質発生における役割について検討した 方法: 生後21日に、3種の細胞腫(GABA陽性神経細胞、GABA陰性神経細胞、グリア細胞)の皮質内分布を定量的に評価した。GABA陰性細胞は側脳室直上の脳室層で産生されinside-outパターンに従い大脳皮質に分布する。GABA陽性細胞は線状体原基で産生され、大脳内側に向けて遊走分布する。グリアは脳室下層に分布するグリア系幹細胞に由来し、inside-outパターンによらず皮質内に分布すると考えられている。 結果: 大脳皮質(第1層〜6層)は、p27KOで8.3%厚く、これは皮質表層(第2〜4層)の厚さが増加しているためであった。細胞数の増加はGABA陰性細胞、陽性細胞、グリアのいずれにも認められた。GABA陽性細胞は皮質全層にわたって一様に増加していた。一方、GABA陰性細胞は、皮質表層で27.1%増加、皮質深層では6.2%増加という不均一な増加パターンを示した。グリアはGABA陽性細胞と同じく皮質全層にわたって一様に増加していたが、白質での増加が著明であった。細胞密度についてはGABA陽性・陰性細胞、グリアともにp27KOとWTで有意差を認めなかった。 まとめ: p27の欠落により細胞種特異的な増加パターンを呈することが判明した。この現象は、それぞれの細胞種が異なる幹細胞群から産生されること、WTの脳室層においてはp27発現のピークが皮質表層の神経細胞が産生される発生後期に起こることにより説明可能である。
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