研究課題/領域番号 |
12770401
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大森 さゆ 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60286523)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ERK / p38 / JNK / MAPキナーゼ / 多発性嚢胞腎 / pcyマウス / extracellular signal-regulated kinase(ERK) / p38MAPK(p38) / c-Jun N-terminal kinase(JNK) / 多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease) |
研究概要 |
【背景】多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease、PKD)は、腎不全に至る重篤な遺伝性腎疾患である。現在治療法がなく、遺伝子治療を含む治療法の確立が待たれている。Mitogen-activated protein kinase (MAPK)ファミリーは細胞内シグナル伝達の中心的役割を果たす酵素である。MAPKのERKは、増殖因子刺激により活性化され細胞増殖・分化を媒介する。また、p38、JNKは、ストレス、サイトカインにより刺激され、ストレス応答・細胞増殖抑制・アポトーシスを媒介する。正常ラット腎発生において、ERK、p38は胎児腎に、JNKは成熟腎に発現する。またERK、p38は、ネフロン形成、尿細管の増殖・分化に関与する。正常マウス腎の器官培養では、MEK阻害剤下において、腎重量の低下、尿管芽の狭小化、糸球体数の減少を認める。【方法】胎生15日(E15)、日齢1、7(N1、N7)、週齢8、25(8W、25W)のDBA/2-pcyマウス腎(pcy)および対照マウス腎(con)のMAPKおよび活性型MAPK発現を免疫組織染色により検討した。E14のpcyをERK活性化酵素MEK阻害剤U0126 10μM存在下、非存在下で5日間器官培養後、HE染色で嚢胞形成を検討した。【結果】pcyでは嚢胞上皮細胞におけるERK、p38の発現が増加した。対照的にJNKは、生後7日以降の正常尿細管では認められたが、嚢胞上皮細胞では認められなかった。ERK、活性型ERKは、pcyのN1以降の拡張した尿細管、嚢胞上皮細胞において強く染色された。pERKはコントロールでは認められなかったp38は、全経過においてpcyの尿細管および嚢胞上皮細胞に発現が認められた。一方コントロールではN1以降には認められなかった。ERK活性阻害下では嚢胞形成、ネフロン形成が抑制された。ERKはアポトーシスを抑制することによりネフロン形成、嚢胞形成に関与する可能性が示唆された【結語】pcy嚢胞壁ではERK、活性型ERK、p38の発現増加と、JNKの発現減少がみられた。また、ERK阻害下において嚢胞形成が抑制された。ERKは機能的に嚢胞形成に関与する。
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