研究概要 |
川崎病急性期の冠状動脈障害を有する患児に対して心臓カテーテル検査時に冠動脈内にアセチルコリンを注入して血管内皮由来の血管内皮由来弛緩因子(EDRF)の低下を証明した。 このことを米国心臓学会で報告した。また、同時に施行したシンチグラフィーにおいて同様の結果を非観血的に得ることができた。この血管内皮由来弛緩因子(EDRF)の本体は一酸化窒素(NO)であり、一酸化窒素合成酵素(NOS)により産生放出され、血管拡張作用や、血小板凝集抑制作用をを有し、血管トーヌスの調整や抗血栓性に関与している。これらの患児に対してビタミンC投与を行い、同様の検査を行った。冠状動脈瘤の程度が軽いものではEDRFの改善が認められるが、巨大な冠状動脈瘤を有するものではEDRFの改善が認められなかった。これらの症例ではNOS産生放出能が低下していた。ビタミンC投与によりこれらの症例においてNOS産生能が改善した。また、EDRFの低下の原因となる急性期の冠状動脈障害と細胞接着分子の関係を検討した。細胞接着分子のP-,E-,L-セレクチンは、川崎病急性期および亜急性期には、慢性期および対照群に比して明らかに上昇しており、また、冠状動脈瘤を生じた例では生じなかった例に比して有意に上昇しており冠動脈瘤発生の予測因子となることが示唆された。また、同時期に炎症により上昇することが知られている血管新生因子(VEGF)が血管炎の程度に一致して上昇していた。この事を2001年の米国心臓会議(AHA)にて発表した。現在論文を投稿中である(Furui J、Ishii M, Eto G, et al. Acta Paediatr,投稿中)。
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