研究概要 |
尋常性乾癬患者5名,および対照として健常人4名からヘパリン採血を行い,Ficollによる密度遠心法で末梢血単核球を分離した。この末梢血単核球をCD14 magnetic beadsと30分,4℃で反応させた後,magnetic cell sorterを用いて,CD14陽性の単球分画を分離した。これらの単核球をよび単球を96-well培養プレートで,LPSの存在下で72時間培養を行い培養上清中のサイトカイン量をELISA法で測定した。72時間培養後の末梢血単核球では,健常人コントロール,乾癬患者ともに,LPS刺激により,IL-8の軽度産生亢進が認められたが,無刺激,刺激時ともに,乾癬患者のほうがやや高い傾向が認められた。単球分画の細胞で同様に検討した場合も同様の傾向ではあったが,コントロールではLPS刺激によりIL-8産生は約2倍の上昇が観察されたのに対し,乾癬患者半球では約5倍の産生亢進が認められた。コントロール,乾癬患者ともに末梢血単核球では,無刺激の場合は培養上清中にはTNF-αはほとんど検出されなかったが,LPS刺激によりTNF-αの著明な産生亢進を認め,乾癬患者では,コントロールの約1.5倍のTNF-α activityを検出した。一方,単球分画での解析でも同様の傾向を示したが,LPS刺激時のTNF-aは乾癬患者単球ではコントロールの約3倍の産生亢進が認められた。これらの結果からTNF-α,IL-8の産生亢進が,末梢血単核球を用いた場合と比較して,単球分画のほうがより産生の亢進が認められたことは,乾癬の発症に関して,単球のレベルでの反応性の異常が起こっていることを示唆する結果と考えられた。
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