研究概要 |
強皮症皮膚線維芽細胞では、コラーゲン遺伝子の発現が3倍程度亢進していた。TGF-βの情報伝達の関与を検討するために、Smadファミリーの関与について検討したが、Smad2, Smad3, Smad4の過剰発現によって正常皮膚線維芽細胞ではコラーゲン遺伝子転写活性が亢進したが、強皮症皮膚線維芽細胞では反応しなかった。またTGF-βの情報伝達を抑制するSmad7の過剰発現によって正常皮膚線維芽細胞ではコラーゲン遺伝子転写活性が抑制されたが、強皮症皮膚線維芽細胞では反応しなかった。さらに強皮症皮膚線維芽細胞では、Smad3のリン酸化が亢進し、Smad7の発現が亢進していた。以上の結果は、強皮症皮膚線維芽細胞はin vivoでTGF-β刺激を受け、コラーゲン遺伝子の発現が亢進している可能性が示唆された。さらに、強皮症皮膚線維芽細胞ではp38MAPキナーゼのリン酸化が亢進し、またp38MAPキナーゼの情報伝達経路を特異的阻害剤、あるいはdominant negative p38α, P38βの過剰発現にて阻害したところ、強皮症皮膚線維芽細胞のコラーゲン遺伝子発現亢進が阻害され、強皮症皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン遺伝子発現亢進にはp38MAPキナーゼが関与しているものと考えられた。
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