研究概要 |
臓器(腎)移植患者33人に生じた疣贅病変(common warts, pigmented warts, flat warts, cutaneo us horn)55例について、発症年齢、発症部位、臨床像、病理組織像、薬剤歴を検討した。次に凍結組織検体55例をprotinase K処理後、phenol/chloroform/isoamylalchholで全DNAを抽出した。さらに吸光度を用いて、DNA濃度を測定した。 HPV DNAの検出と遺伝子型の決定 各々の検体から抽出した全DNAのうち、100ngをtemplate DNAとし、HPVのopen reading frame L1領域を増幅するprimer(CP65/70,HPV2/B5,F9/B5,F10/B5,F12/B6,F22/B11)を用いてPCR産物の検出を試みた。その結果、約90%にPCR産物を認め、得られたPCR産物を精製し、TA-cloningを行った。さらに得られたクローニングDNAについてはchain terminator法にてシークエンス解析を行い、HPVの型決定を行った。その結果、尋常性疣贅からしばしば検出されるHPV 2/27/57型が大多数疣贅病変から検出され、発癌能を有するいわゆるhigh risk群の型は非常に少ない頻度で、HPV-5関連型をはじめとし、ごくわずかであった。 以上の結果から、本邦のおいて、臓器移植患者に生じた疣贅病変から発癌能を有するHPVの検出は欧米と比較し、少ないものと結論づけた。
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