研究概要 |
平成13年度は実際の実験を行い以下の結果を得た.ラット約50匹用い,各種塞物質の小腸動脈内での動態を生体顕微鏡で観察後,壁障害と検討し,さらに血管鋳型標本を作成検討することによって,安全な小腸動脈塞栓術の開発を試みた.コントロールとして用いたマイクロスフェアーは、球形で血管内でも形状が変化せず、サイズが均一であるという特徴を持ち、直動脈を塞栓するサイズのものが実験で用いた試料の中では塞栓物質として理想に近かった。ゲルフォームは、不整形で血管内で形状が変化し断片化する特性がある。このため塞栓レベルが限局されにくく、塞栓効果も一定ではなかった。また十分に塞栓した際には障害が強かった。ポリビニルアルコールは、不整形で血管内で形状が変化しにくく塞栓レベルは比較的限局していたが、個々のサイズにばらつきがありマイクロスフェアーと比較し塞栓レベルには幅があった。このため直動脈径より大きなサイズの際には障害が強かった。塞栓を目的とする血管の近位より(可能ならばその遠位も)閉塞させ、かつ末梢の血行が側副路で維持され、結果として腸管壁に明らかな壊死を惹起しない塞栓術が最適と考えられる.そのため塞栓を目的とする血管径に近いサイズで均一な塞栓物質が理想であり、また出血部位の遠位までカテーテルをすすめることができれば遠位および近位でのコイリングも有効と考えられた。 今後同様の実験を肝動脈,門脈に対して施行し,有用な肝塞栓術の開発を行う予定である.
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