研究概要 |
1,同意のもとボランティアおよび患者数名にて、MR endoscopyを施行し、standardとなる画像所見の収集を行った。咽頭反射が強く,MR endoscopyを嚥下することのできなかったボランティア1名を除いては,特に問題なく試行可能であった。傾向として,通常の内視鏡がが施行可能であれば,MR endoscopyは施行可能であると思われた。 2,得られた画像情報を部位別、疾患別に検討を行った。具体的には消化器/消化管疾患においてはその進達度や他臓器への浸潤、周囲のリンパ節等について従来の検査法(CT、内視鏡等)と比較・検討を行った。ある種の病気(早期胃癌等)を除き,従来のMRIの撮像方法による画像と比較して,総じてMR endoscopyによる画像で病気の進達度等のさらなる情報が得られた。 (1)食道癌 胸部大動脈への浸潤の有無が,通常のMRIや超音波内視鏡より正確に診断可能であった。 (2)進行胃癌 超音波内視鏡で,膵臓への浸潤やリンパ節転位を疑われた症例で,実際にはなかったことをMR endoscopyで確認できた。 (3)胃粘膜下腫瘍 腫瘍および筋層の関係が超音波内視鏡同様にMR endoscopyで描出された。 (4)胆嚢癌 胆嚢癌の位置,腫瘍の大きさ,壁の進達度,周囲のリンパ節転位を正確に診断可能であった。 膵腫瘍 MR endoscopyでは,粘液産生膵腫瘍やリンパ上皮性膵嚢胞等の嚢胞性病変において,病変部の壁の不整等の詳細が,通常のMRIより明瞭に描出された。また,超音波内視鏡で描出不可能であった膵の島細胞腫瘍がMR endoscopyで描出可能であった。
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