研究概要 |
末梢動脈屈曲部に留置したステントの開存性と耐久性を検討するために,総腸骨動脈から外腸骨動脈にかけて留置したステントの変形と体位変換に伴うステントの作る角度の変化について検討したが、ステントの変形と体位変換に伴うステント角度の変化が血行動態的に影響を及ぼすか否かをDSAを用いて検討した。骨盤単純X線写真正面および側面像でステントの変形の有・無を確認した100例136病変中にステントの変形は11病変(8%)に認められた。ステントをオーバーラップさせ,2個以上留置した52病変中8病変(15%)でステント間のgapがみられた。次に,下肢を伸展した状態で骨盤側面の単純X線を撮像し,下肢を最大屈曲させた側面の単純X線を撮像し,伸展時の側面像を比べ、ステントの作る角度の変化を外腸骨動脈において測定し、バルーン拡張型と自己拡張型で比較検討し、自己拡張型が有意により屈曲,伸展することが示され,屈曲した動脈の走行に追従することが示唆された。DSAを行った30例について下肢伸展位と下肢屈曲位で撮影した側面DSAではステントの変形部、gap、屈曲部にも明らかな狭窄や造影剤のpoolingは認められず、腸骨動脈の血流は良好であった.腸骨動脈にステントを留置する場合は,変形やgapを生じることがあるため、動脈の走行に追従するステントの選択と十分なオーバーラップが必要であると考えられるが、変形や屈曲があっても血行動態的に影響を及ぼす可能性は少ないと考えられた。
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