研究概要 |
1.臨床的検討:脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血後に脳血管内治療を施行された患者5例について、塞栓術直後および術後2日目(約48時間後における患者脳脊髄液中のヨウ素含有量を測定した結果、術後のCTで高吸収域を認めたものが、他の4症例に比べて有意に高値(術直後:0.14mgl/mL、約48時間後:0.02mgl/mL)を示していた。 2.実験的検討:濃度の異なる2種類の非イオン性ヨード造影剤(150、350mgl/mL)を用いてウサギの内頚動脈造影を施行。造影剤投与に関しては投与量を一定に各投与条件を37℃加温、非加温、および1秒間隔、30秒間隔投与として、計5群(n=8)に設定。対照群(n=4)には非加温の生理食塩水を1秒間隔で投与したものを用いた。投与15分後に造影MRIを経時的に計7回撮像し、各群で脳実質内の相対的増強効果(relative enhancement : RE)を評価した。各投与群にて、投与前後でのRE(%)は、造影剤農度300mgl/mLを非加温で1秒間隔で投与したのみが有意に高値(mean±SD:17.6±22.5)を示し、造影剤の血管外漏出によると思われる変化が観察された(P<0.05)。 本実験により、投与する造影剤に関して、高濃度・高粘稠度・短投与間隔といった因子がこの現象に関与しているのではないかと考えられ、これらの使用するヨード造影剤の投与条件に留意することで、造影剤の血管外漏出を予防する可能性が示唆された。これらの実験の具体的成果は、2001年4月の日本放射線医学会総会(神戸)、および米国神経放射線学会(ASNR, Boston)にて発表しており、現在これらをまとめて投稿論文の作成中である。
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