研究課題/領域番号 |
12770527
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294068)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ蛋白 / アポトーシス / IAP(アポトーシス阻害蛋白) / 14-3-3蛋白 / リン酸化 / XIAP / カスパーゼ |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)脳では多量の異常リン酸化タウ蛋白の存在が知られているが、この異常リン酸化機構は明らかではない。我々の今までの検討ではPI3K(phosphatidylinosito13-kinase)の阻害剤wortmanninをを培養細胞に添加すると、アポトーシス刺激によるPKC活性化によるGSK3の活性抑制がおこり、最終的にはタウ蛋白は脱リン酸化される。また、この系をcaspase-3の阻害剤であるz-DEVD-fmkの存在下でおこなうと、アポドーシスは進行せずにタウ蛋白は高度にリン酸化された状態となる。そこで、z-DEVD-fmkの代わりに内因性のcaspase阻害剤であるXIAP(X-chromosome-linked inhibitor of apoptosis protein)を強制発現させた系を用いて同様の結果が得られるかどうかを検討した。タウ蛋白を発現させた培養細胞にXIAPを強制発現しwortmanninを添加したところ、アポトーシスはほとんど進行しないが細胞死はゆっくりと進行しタウ蛋白は高度にリン酸化されたままとなった。以上のことより、z-DEVD-fmkによって認められたリン酸化タウ蛋白を伴う神経細胞死過程は内因性阻害蛋白によって置き換えることが可能であり、ADの神経変性過程のひとつのモデルとなりうる可能性が示唆された。 さらに、我々はタウ蛋白のある部位(Ser214)のリン酸化が14-3-3蛋白というscaffold proteinとの結合を増強することを見出した。これらのことから、タウ蛋白はリン酸化のみによって微小管重合能の制御を受けているだけではなく、リン酸化によって誘導された蛋白結合がさらに何らかの機能制御にはたらいている可能性が示唆された。
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