研究概要 |
1.キンドリングモデルの作成 雄性SD系ラット3極の慢性深部電極を左扁桃核に挿入,同時に右側脳室にアンチセンス・オリゴヌクレオチド投与用のガイドカニューレ(23G)を挿入.1週間の回復期間後キンドリング刺激を開始.電気刺激は100Hz,2秒間,パルス幅1ミリ秒の二相性矩形波で左扁桃核を後発射誘発閾値強度で1日2回反復刺激.全般化発作が5回連続して誘発された時点でキンドリング完成とした. 2.アンチセンス・オリゴヌクレオチドおよび特異的AMPA型受容体拮抗薬(NBQX-Na)の投与 キンドリング完成後,カニューレより左側脳室にGluR1およびGluR3サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド5nmol/5μlを1日3回,3日間投与.その後GST刺激を24時間毎に10日間行い,経時的に発作発現に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドの効果を発作段階および持続時間を指標に判定.対照としてはタンパク発現抑制効果を持たないランダムセンス・オリゴヌクレオチドを同条件で投与したものとした.また,特異的AMPA型受容体拮抗薬(NBQX-Na)についても同様の条件で投与し,アンチセンス法と比較検討した.その結果,GluR1アンチセンス投与群では投与後4日後に発作段階の抑制および持続時間の短縮がみられた.しかしながらコントロール群においても副作用と思われる発作の抑制がみられた.NBQX-Na投与においては有意な用量依存的な発作抑制効果が,対照群と比べてみられた.副作用の軽減を目的に焦点局所に直接ガイドカニューレを挿入し,NBQX-Na投与およびGluR1アンチセンス投与を行った.NBQX-Na投与では有意な発作抑制効果が,対照群と比べてみられた.一方GluR1アンチセンス投与投与群でも抑制効果が見られる群もあったが,個体間での差があり有意な結果には至っていない.今後,対象数を増やすと共に各サブユニットに対するアンチセンスの効果を順次評価し,その後タンパクレベルでの評価を行っていく予定である.
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