研究課題/領域番号 |
12770546
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
張 賢徳 帝京大学, 医学部, 講師 (00297136)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 自殺 / 解離状態 / 解離性向 / 自殺危険因子 / 自殺未遂者 / うつ病 / 精神分裂病 / Dissociative Experience Scale / Peritraumatic Dissociative Experience Questionnaire |
研究概要 |
(1)自傷行為中に解離状態が生じている、(2)自傷行為中の解離状態が強いほど自傷は重症になる、(3)解離性向が強いほど自傷を起こしやすい、という3つの仮説を立て、これらを検証することが本研究の目的である。対象は精神科患者であり、自傷行為歴、自傷行為歴があった場合にはその行為中の解離度、そして普段の解離性向について、面接ならびに質問紙法によって情報収集を行った。解析方法は、仮説(1)に対して、自傷行為時に解離状態を呈した者の割合を調べる。仮説(2)に対しては、自傷行為中の解離度を質問紙(Peritraumatic Dissociative Experiences Questionnaire)で測定し、その程度と身体重症度との相関を調べる。仮説(3)に対しては、普段の解離性向を質問紙(Dissociative Experience Scale;DES)で測定し、自傷行為群と非自傷行為群の間でその得点を比較する。 うつ病性障害の患者200名、精神分裂病患者50名が現在解析可能な段階にある。その他の疾患群では情報収集を続けてきたが、十分な解析に耐えうる数がまだ集まっていない。うつ病性障害では、上記の仮説3つとも支持される結果が得られた。精神分裂病では、仮説(1)、(2)は支持されたが、仮説(3)は支持されなかった。この解釈として、精神分裂病患者は解離性向に無関係に強い覚悟の上の自殺念慮によって自傷行為を起こすと考えられる。つまり、彼らの自殺念慮の高まりには解離はあまり関係せず、一旦強い自殺念慮を抱くと、解離性向に関係なく実行する(「覚悟の上の自殺」と考えられる)。しかし、DESの質問事項の一部が精神分裂病症状に近似しているものがあるため、これらの項目の扱いを再検討して解析することも予定している。 本研究から、うつ病性障害では、希死念慮プラス強い解離性向が自殺の危険因子であることが示唆された。
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