背景と目的われわれは、早産児の損傷肺からの検体の測定の結果、生後早期より気管吸引液中にHGFを検出し、生後2、3週は上昇し、抜管にむけて下降することを明らかにした。そこで今回は、実験動物を使って、胎児期から胎外生活への適応時期にかけての肺のHGFの推移を明らかにし、生理的な意義を検討した。方法と結果SDラットを用いて出生直後、3、6、12時間後、1、3、7、14、21日、および8週の肺実質のHGFをELISA法のより測定した。それぞれ平均で、015、0.17、0.20、0.08、0.05、0.05、0.07、0.11、0.16、0.18ng/mgtissue(n=5〜8)であった。すなわち、出生後数時間でadultに匹敵するHGFが産生されたのち、いったん下降し、成長にともなって上昇することが示された。考察肺において出生後に急激なHGFの上昇がみられたことから、生理的な胎外生活への適応にHGFが何らかの役割を果たしていると推察される。早産児では子宮内感染や母体のステロイド投与とHGFのピーク値に関連がみられたので、今後は、早産児のA.胎内でエンドトキシンに暴露、B.胎内でステロイド投与、C.出生直後から高濃度酸素に暴露のモデルでの肺のHGFの動態を測定し、幼弱肺の損傷と治癒過程とHGFの関連を検討する予定である。
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