研究課題/領域番号 |
12770610
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
飛騨 麻里子 (飛彈 麻里子) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276306)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | kidney / mitogen-activated protein kinase (MAP kinase) / p38 MAP kinase / extracellular signal-regulated protein kinase / nephrogenesis / ureteric bud / organ culture / 細胞内情報伝達 / MAPキナーゼ / 腎臓 / 発生・分化 / 器官培養 / ネフロン形成 / 尿管形成 / MEK阻害薬 / p38阻害薬 |
研究概要 |
【目的】Mitogen-activated protein kinase (MAPキナーゼ)ファミリーは細胞内情報伝達において中心的役割を果たす酵素である。Extracellular-signal regulated kinase (ERK)は増殖因子刺激で活性化され細胞増殖・分化を、p38MAPキナーゼ(p38)・c-Jun N-terminal kinase (JNK)は浸透圧や紫外線などのストレス、サイトカイン刺激でストレス応答・細胞増殖抑制・アポトーシスを媒介する。腎発生、特にネフロン形成過程において広汎な細胞増殖、アポトーシスが生じることからMAPキナーゼの関与が推測される。私達はラット腎発生過程においてMAPキナーゼの発現が、時間的・空間的な調節を受けていることを報告した。特にERK、p38は胎児腎で著明に発現し、腎発生分化の初期過程に関与している可能性が示唆された(Kidney Int. 2001)。今回、ERK、p38の腎発生における機能的意義を器官培養を用い検討した。【方法】胎生15日ラット腎をERK活性化酵素MEK阻害剤PD98059(PD)300μM、U0126(U)10μM、p38阻害剤SB203580(SB)30μM存在下で4日間器官培養した。腎の成長を腎サイズ測定、尿管芽の成長をD.biflorus lectinの蛍光染色、内部構造をパラフィン切片のHE染色、細胞増殖を抗Proliferating Cell Nuclear Antigen (PCNA)抗体による免疫組織染色と[H^3]チミジン取り込み、アポトーシスをTUNEL染色・抗ssDNA抗体による免疫組織染色・DNAラダーの検出、間葉細胞の分化を抗Wilms'Tumor-1抗体による免疫組織染色でそれぞれ評価した(n=9)。【結果】腎の成長:PD、Uでは対照と有意差を認めず、SBでは有意に抑制された。尿管芽染色:分枝数には4群間で差を認めず、管腔の狭小化をPD・Uで、軽度の拡大をSBで認めた。HE染色:対照とPDでcomma-、S-shapedbodyを認めたが、SBではネフロン様細胞塊のみ認めた。細胞増殖:PDとUでは対照と有意差無く、SBで有意な増殖抑制を認めた。アポトーシス:PDとUで軽度、SBで著明にアポトーシスの増加を認めた。間葉細胞の分化:PDでは対照と有意差なく、SBでは分化は抑制された。【総括】本研究からERKとp38が腎発生初期過程に必要であり、ERKは尿管芽の成長と糸球体形成に、p38は腎サイズの成長と糸球体形成に関与することが示唆された。
|