研究概要 |
ヒスチジン・ロイシン要求酵母株であるYM4271のゲノムに,GG-box配列(GGAAT)を組み込むことでヒスチジンをコードするHIS3遺伝子を回復させ,ヒスチジン合成酵素阻害剤3AT(3-amino-1,2,4-triazol)を培地中に添加し,30mMで生育しかつ45mMでは生育が不可能な株を選択し最適酵母株とした. マウス膵B細胞株MIN6cDNA発現ライブラリーが導入された最適酵母株は,ロイシンをコードするLUE遺伝子が回復するため,ロイシン欠損培地でも生育可能になり,さらにGG-box配列と結合する蛋白質が発現された場合は,ロイシン・ヒスチジン欠損45mM3AT添加培地でも生育可能になる.今回生育可能になった株約240種類からそれぞれのプラスミドを抽出し塩基配列の決定を行うに至ったクローンは160個で,コンピュータで既存の蛋白質やEST情報と照合することにより,それぞれが異なる断片を含んでいる事が確認された.これにより,ここまで行った手法では最適酵母株の選択法や,GG-box配列を3連にして組み込む時のリンカー部の配列に問題があると考えられた.しかしながら,一見それぞれ異なる断片が発現してGG-box配列に結合しているとみられた160個のクローンのうち,2個が全く一致した約300bpの配列をもっていたため,この断片はGG-box配列との結合に関連した部分であると考えられ,第一候補クローンとして他の候補(DNA結合構造をもつ)とともに,二次スクリーニングを行っている. これまでのスクリーニング法の問題点を改善するために,リンカー部を排除してGG-box配列のみを組み込んだ新たな最適酵母株を厳密に選択し,One-hybrid法でのGG-box結合因子の同定法を確立し,各候補クローンの確認を行うとともに引き続き一次スクリーニングを行っている.
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