乳癌101例の原発部腫瘍組織と血液白血球DNAを用い、以下の解析を行なった。原発病巣は通常の病理組織学的検索にて癌の存在を確認した。 1.前立腺特異抗体(PSA)遺伝子プロモーター領域のandrogen response element 2に関してPCR-S SCP解析を行なった。 2.銀染色により異常バンドを同定した。 3.目的のバンドよりDNAを抽出し、シークエンス解析を行なった。 4.Nsp IとSfc Iを用いたenzyme analysis法により、遺伝子多型サイトの遺伝子型を決定した。 5.RNA抽出を行いRT-PCR法によりPSAmRNAの発現を決定した。 以上の結果、RT-PCRにより40%でPSAmRNAの発現が見られた。またコドン-252(G/A)と-205(A/AA)の遺伝子多型を認めた。これらは、-252Aは-205AAと-252Gは-205Aとリンクしていた。Genotypeの分布は、G/A-A/AA54.7%、A/A-AA/AA7.5%、G/G-A/A37.8%であった。A/AA型では、原発腫瘍が小さく、分化度高くp53陰性例が多く、増殖分画が低く予後良好の乳癌である可能性を認めた。
|