研究概要 |
【目的】食道扁平上皮癌51例に対しCGH(comparative genomic hybridization)解析を行い、臨床病理組織学的項目と比較することで、癌の進展、さらには転移や予後に関係する染色体異常を解明すること。【方法】手術で得られた新鮮凍結標本より腫瘍DNAを抽出し、CGH法にて、DNAコピー数異常を解析した。【結果】3q26-qter gain(78%)、3p11-21 loss(65%)、8q24-qter gain(62%)、11q13 gain(47%)、18q22-qter loss(47%)、9p21-23 loss(43%)、4q32-34 loss(45%)、5q14-21 loss(41%)、4p15 loss(39%)、5p15 gain(37%)、20q12-qter gain(37%)など、様々な染色体異常領域が存在した。単変量解析で予後と関連が認められたのは、リンパ節転移の有無(pN0 vs. pN1)、Stage (Stage I vs. Stage II, III, IV)、5p15 gainの有無、8q24-qter gainの有無、14q21 gainの有無であった(それぞれ、p=0.02、p=0.02、P=0.0002、P=0.007、P=0.04:Kaplan-Meier法)。多変量解析では、リンパ節転移の有無と5p15 gainが独立した予後因子であった(それぞれ、P=0.04、P=0.001:Cox解析)。また、8q24-qter gain、11q22-23 loss、20q12-qter gainはリンパ節転移に、5p15 gain、14q21 gainは術後の遠隔転移に関係していた(それぞれ、P=0.0006、P=0.02、P=0.002、P=0.006、P=0.02:Fisher検定)。【結語】食道扁平上皮癌に対しCGH解析を行い染色体異常を検出することで、リンパ節転移や術後の遠隔転移、さらには予後の予測が可能であると考えられた。
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