研究概要 |
雑種成犬を1頭につき3箇所の部分的小腸虚血・再灌流部(虚血時間の長さにより2時間虚血群、3時間虚血群、4時間虚血群)を作成した。第一虚血部の支配静脈に経時的採血用のカテーテルを挿入し、再潅流前、再潅流30分、60分、90分、120分後に採血し、血清を凍結保存し、現在、生化学的検討を行なっており、データを蓄積中である。第2虚血部は、手術野の照度を50000ルクスと一定として、ビデオ撮影を行い、直ちにコンピュータ解析を行い、赤色、青色、緑色の色調を定量化した。これと、レーザー血流計を用いた実測値との相関を検討し、組織血流=0.16×赤色+0.052×緑色+O.09×青色-7.838 R=O.934の強い相関があることが判明した。また.組織酸素飽和度モニターとプローブを用いて,組織酸素飽和度と組織血流の相関を検討し,組織血流=0.65×組織酸素飽和度-34.58R=0.7で組織酸素飽和度と組織血流は相関した.第1虚血部、第2虚血部は、切除・吻合を行い、吻合部の粘膜再生の程度を組織学的に検討した。その結果、吻合部の粘膜の再生は、4時間虚血群が2時間虚血群に比し、有意に不良であった。また。別の5頭を用いて虚血・再灌流直後にマイクロソフェアーを注入し、2時間虚血部・再灌流,4時間虚血部の粘膜・漿膜面の血流比を解析し,撮影した腸管の色調が粘膜血流を反映するか,漿膜血流を反映するか検討中である.また、これとは別に虚血2時間群と4時間群で吻合後3日目の吻合部の血管再生を検討すべく、吻合後3日目の正常吻合部、2時間虚血部吻合部、4時間虚血吻合部を摘出後、口側と肛門側の腸間膜動脈よりマイクロソフェアーを注入し、マイクロソフェアーの色の違いから,血管新生の程度を検討している.この検討の成果をDigestive surgeryに投稿する予定である.
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