研究概要 |
脊柱靭帯骨化の発生機序にBMPの細胞内シグナル伝達分子であるSmad,特に共有型SmadであるSmad4と抑制型SmadであるSmad6が関与しているかどうかを調べるため,昨年度は頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy,以下CSM)患者と頚椎後縦靭帯骨化症(cervical ossification of the posterior longitudinal ligament,以下OPLL)患者の手術時に採取した黄色靭帯細胞におけるSmad4とSmad6のmRNA比(以下Samd4/6比)をCSM群とOPLL群の間で比較検討した.その結果,CSM群ではSmad4が優位なものが3例,Smad6が優位なものが4例であったのに対し,OPLL群ではSmad4優位なものが7例,Smad6が優位なものが5例という結果を得たが,Samd4/6比はCSM群とOPLL群の間に有意差は認められなかった,今年度は強直性脊椎骨増殖症,全身性特発性骨増殖症といった他靭帯骨化を合併している症例についてCSM群と比較検討していく予定であったが,症例数が少なくまだ比較検討できない状態であり,今後も継続していく予定である.また,同時に行っていたウサギ培養関節軟骨細胞を用いたBMPに関する実験において,炎症性サイトカインであるIL-1βによりOP-1遺伝子発現が有意に増加することがわかっており(投稿中),軟骨修復におけるBMP の関与についても今後検討していく予定である.
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