研究概要 |
1.トランスジェニックマウスの各組織におけるNKT細胞分画の検討 8週令マウスのFlow cytometryの解析では、肝臓および関節液中にコントロールの約2〜3倍のNKT細胞の増加が見られた。一方、他の臓器においてはNKT細胞の増加はみられず、罹患関節に特異的に見られる現象であることが判明した。 2.培養リンパ球のサイトカインプロファイルの解析 各組織のリンパ球分画をCD3で刺激した後IL-2,IL-12存在下で培養すると、上清中のインターフェロン-γ濃度は、コントロールに比べ有意に高値を示した。一方IL-4は反対に低値を示し、サイトカインプロファイルはTh1系に傾いていることが判明した。 3.培養リンパ球のphenotypeの解析 CD-3刺激後,IL-2,IL-12存在下で約1週間培養後の細胞をFlow cytometryで解析すると有意にTCR^<int>/IL-2Rβ^+の細胞が増殖していた。すなわちNKT細胞の表面抗原を有した細胞が特異的に増えることが示された。 4.NKT細胞の抗滑膜細胞活性 実験結果3で示した細胞群をCr^<51>で予めラベルした滑膜細胞および腫瘍細胞株と共培養すると、トランスジェニックマウス由来で有意に強い細胞障害性を認めた。 これらの結果から、IL-1の遺伝子導入は、サイトカインプロファイルをTh1へ傾けさせ、NKT細胞のキラー活性(細胞障害性)を増強させること、また炎症性関節でのNKT細胞の増加は慢性関節リウマチなどの炎症性関節炎の病態形成にNKT細胞が関与していることを示唆している。
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