研究概要 |
現在、左室エラスタンス(Ees)、外的仕事量-拡張末期容積関係(PRSW)が心収縮性の絶対的指標とされている。近年、心収縮性の新しい指標としてpreload-adjusted maximalpowerが報告された。しかし、これらの指標は侵襲的で臨床応用は困難である。平成13年度の研究目的は、これまでの心収縮性の指標をさらに改良し、臨床で使用可能な心収縮性の指標を確立することである。 【方法】対象は同意の得られた開心術患者とした。左室容積の代用として経食道心エコーの自動境界認識機能を用い左室断面積の面積時間変化を計測した。また動脈圧は本来の動脈圧として用いられる上行大動脈圧の代用として橈骨動脈圧を計測した。平成12年度の動物実験で左室断面積の面積時間変化と上行大動脈圧時間変化の積を拡張期末面積の3/2乗で除した値(PWRmax/EDA^<3/2>)が心収縮性の指標になりうることが証明されたので、この値を臨床実験での絶対的指標と仮定した。平成13年度の研究で新しい指標として確立を目指す左室面積時間変化と橈骨動脈圧時間変化のそれぞれの最大値の積を拡張期末面積の3/2乗で除した値(PWRpeak/EDA^<3/2>)をセボフルラン1.5MAC吸入前後で算出した。同時に算出したPWRmax/EDA^<3/2>と比較検討し,両者の相関関係を調べた。 【結果】PWRpeak/EDA^<3/2>とPWRmax/EDA^<3/2>との相関関係。PWRpeak/EDA^<3/2>はPWRmax/EDA^<3/2>と非常によい相関関係が認められた(Y=0.714*X+1.561,r^2=0.862)。 【結語】Preload-adjusted PWRpeak(PWRpeak/EDA^<3/2>)は臨床応用可能な心収縮性の指標となりうることを示した。
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