研究概要 |
インフォームドコンセントして承諾を得ている膀胱癌症例を対象とした。 治療前に膀胱癌標本を採取してからCDDP併用放射線療法を施行した。 1)治療の終了した45例の膀胱癌組織(治療前のパラフィン標本)と患者末梢血のそれぞれからDNAを抽出した。 2)複数の癌抑制遺伝子(p16,PATCHED,DBC1)のinternal gene markerも含めて,9番染色体のマイクロサテライトマーカー15個(D9S259,D9S942,D9S922,1AJL,D9S774,D9S938,D9S930,D9S302,D9S934,D9S195,D9S1199,D9S156,D9S1748,D9S171,D9S970)を選択した。 3)膀胱癌DNAと同一患者末梢血DNAを用いて,2-4個のマーカーを1セットとして,multiplex-PCRを行った。得られたPCR productにsize standardを混ぜて4%ポリアクリアルアミドゲル電気泳動を施行した(蛍光DNA sequencer ABI377を使用)。 4)各マーカーごとに膀胱癌DNAと患者末梢血DNAの2つのalleleのピーク領域(GeneScan)を計算した。癌DNAの減少した側のalleleのピーク領域が,末梢血DNAの同側alleleのピーク領域に比較して,50%以下となるマーカーを共通欠失領域(lossof heterozygosity;LOH)とした。 5)現在35膀胱癌症例について検討中である。D9S259 locusではLOHが7例中6例に認められた。D9S942 locusではLOHが12例中5例に認められた。まだ実験中であるが,15マーカーのうち,12マーカーにおいて1症例以上でLOHが観察された。今後さらにLOH解析を続けて,各マイクロサテライト領域でのLOHの発現とCDDP併用放射線療法の治療効果との相関を検討する予定である。
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