研究概要 |
Comparative genomic hybridization(CGH)法は,染色体解析が困難な固形腫瘍ゲノム中の遺伝子コピー数の増減をスクリーニングするのに非常に有用な方法である。腎細胞癌の発癌過程に関与する遺伝子変化として、Papillary typeの腎細胞癌の発生にc-met遺伝子異常が,またClear cell subtypeの腎細胞癌の発生にvon Hippel Lindau(VHL)遺伝子異常が関与していると考えられているが、その他の遺伝子変化はあまり解明されていない。 VHL遺伝子異常の無いClear cell subtypeの腎細胞癌の腫瘍発生のKey Pointとなる遺伝子異常の解明のため、CGH法を用いて、腎細胞癌の腫瘍ゲノム中の遺伝子コピー数の増幅・欠失を検討した。腎細胞癌では1p、3q、4q、5q、7、8q、14q、16、17q、20、22qの染色体に増幅領域がみられた。特に1p、16p、22qは多くの症例で増幅を認め、この領域には腎細胞癌の発生過程に関与する癌遺伝子の存在する可能性が示唆された。 今後は症例の更なる蓄積に加え、VHL遺伝子異常の有無、hypoxia-inducible factors(HIF)蛋白発現の有無を確認し,VHL,HIFの変化を指標として腎細胞癌株の選別を行いCGH法により遺伝子の増幅が検出されたものに関しては、増幅遺伝子の顕微切断を行い新たな異常遺伝子の同定を試み、腎細胞癌の発生過程のおける遺伝子変化の解明を続けて行く予定である。
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