研究概要 |
腎細胞癌患者の摘出腎の癌組織と正常腎組織を用いて、K-ras遺伝子とPTHrP遺伝子のmRNAの発現をRT-PCR法にて定性化・定量化した。 K-rasとPTHrPのmRNAは、癌と正常組織にて発現を認めていた。K-rasとPTHrPのmRNAの発現量は腎細胞癌の異型度と進達度と正の相関関係を認めており、また生存期間とは負の相関関係を認めた。更に血中PTHrP濃度が異常高値を呈している症例においては、正常群と比較し、その予後は非常に不良であることも判明した。 以上の成果をBJU International誌(88;960-966,2001)に発表した。またRho遺伝子のsubtypeのうちRhoCが腎細胞癌の進展に関与している可能性が強いことを、mRNAレベルで解析し、日本泌尿器科学会総会(2000年6月)にて発表したが、現在蛋白質発現の定量化を行っており、異型度・進達度・転移の有無との相関関係や生存期間との関連性について調べている最中である。またRhoとその下流標的因子であるRho-kinaseのmRNAの発現の定量化の予備実験として、精巣腫蕩にて同様の実験を行ったが、RhoA/Rho-kinase pathwayが精巣腫瘍の進展に関与していることが判明し、BJU International誌(89;449-953,2002)に発表した。
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