研究概要 |
HPV陰性子宮頸部扁平上皮癌培養細胞株(C33A株,HT3株,我々の樹立したYUMOTO株)HPV陰性子宮頸部腺癌培養細胞株(TCO-1株,OMC-4株,NUZ株)HPV陽性子宮頸部扁平上皮癌(QG-U株,QG-H株,SKG-I株,SKG-II株,SKG-IIIa株,SKG-IIIb株,CaSki株)、HPV陽性子宮頸部腺癌培養細胞株(CAC-1株,HeLa株)を用い、まず細胞培養し、DNA、RNA抽出し、cDNA合成した。 当院受診した子宮頸部扁平上皮癌39例、子宮頸部腺癌19例のDNAの抽出を行い、HPV-DNAの検察を行った。子宮頸部扁平上皮癌39例中3例7.7%、子宮頸部腺癌19例中5例26.3%がHPV陰性であった。 近年多臓器の癌で末梢血中のEpidermal Growth Factor Receptor(EGFR)mRNAの発現が、偽陽性が少なく、微小腫瘍細胞検出に有用であるとの報告がある。本研究において子宮頸部癌患者における末梢血中EGFRmRNA発現を検討した。 対象は上記症例中35例で、正常女性30例をコントロールとした。治療前に末梢血2ccを採取、RNAを抽出後、cDNAを合成し、CK19、CK20、EGFRのmRNA発現をGAPDHを内部標準とするRT-PCR法にて測定した。検出感度を1000-2000コピー程で測定した。正常コントロールではこの検出感度ではCK19、CK20、EGFRのmRNAを検出しなかったが、子宮頸癌においてCK19、CK20、EGFRのmRNAはそれぞれ5/35(16.7%)、0/35(0%)、13/35(37.1%)検出された。また上記培養細胞ではすべてEGFRmRNAが検出された。子宮頸部癌においてもCK19と同様、末梢血中EGFRmRNA発現が微小腫瘍細胞検出に有用である可能性が示唆された。 今回の検討ではHPVの発現とEGFRmRNAの発現での関係は明らかではなかった。
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