研究課題/領域番号 |
12770912
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉垣 千恵 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314333)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 悪性腺腫 / STKnll / LKBl / Peuts-Jeghers syndrome / STK11 / adenoma malignum / laser capture microdissection / p53 / k-ras |
研究概要 |
子宮頚部悪性腺腫と診断され治療された症例のパラフィン包埋病理標本よりDNAの抽出が可能であった23症例と子宮頚部の腺癌・扁平上皮癌・良性頚管腺病変のDNAを用いて、これら子宮頚部におけるSTK11遺伝子のExon1-9における遺伝子変異を検索した。多施設より収集された23症例については病理組織診断を再検討し、腺癌・悪性腺腫(高・低悪性度)・胃底腺化生に分類した。病理標本からは実体顕微鏡もしくはLaser capture microdissectionを用いて腺病変部分のみを採取してDNAを抽出した。PCR-SSPC法にてスクリーニングし、変異バンドを検出した症例から変異遺伝子のクローニングを行い、悪性腺腫では7つの変異遺伝子が同定された。他の組織型では腺癌に分類されたPeutz-Jeghers症候群の1例に遺伝子変異を同定した。良性と考えられた胃底腺化生や頚管深部のnabothian cystには遺伝子変異は検出されなかった。変異を同定した症例の正常組織部分からもDNAを抽出し、Peutz-Jeghers症候群の1例ではgermline mutation,悪性腺腫ではsomatic mutationであることを確認した。いずれの検体もDNAの抽出から最低2回再検し、再現性のあることを確認した。変異はexon1・4・5およびintron7-exon8の境界にあり、7個中4つの変異がexon1に見出された。変異はPeutz-Jeghers症候群の症例も含めていずれもmissense mutationであり、Peutz-Jeghers症候群において多く報告されているnonsennse mutationはみられなかった。悪性腺腫の高悪性度4例中3例、低悪性度7例中3例に変異があったのに対し、粘液性腺癌19例(Peutz-Jeghers症候群のぞく)では1例の遺伝子変異症例を見るのみであり、有意に(p=0.0045、Fisher's test)組織型との関連があることが示された。悪性腺腫11例中変異を有す6症例と変異のない5症例の予後を追跡比較したところ、臨床病期には2群の差が無いにもかかわらず、変異群では6例中4例が2年以内に死亡したのに対し、変異の無い群では5例とも2年半以上生存していた(p=0.038,Logrank test)。なお、STK11遺伝子の存在する19番染色体短腕(19p13.3)におけるマイクロサテライトマーカーを用いた検索およびAndrogen receptorを用いたクロナリテイー解析については、悪性腺腫に関してパラフィン包埋切片から採取されうるDNA量に限りがあるため、再現性に乏しく判定は困難であり、診断法としてはSTK11遺伝子変異の検索が優った。
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