研究概要 |
研究成果 1.慢性中耳炎5例に対し、手術時に除去された中耳腔内の肉芽を採取、ミンチし培養液(Dulbeco's modification of Eagle's medium)にて洗浄した。その後30mg/mlの割合で新しい培養液を加え、37℃、95%air/5%C02環境下で7日間培養した。培養液は毎日交換し、古い培養液(GTCM ; granulation tissue conditioned medium)を-20℃にて保存した。5例中、1例は3日目にcontaminationを起こし、4例は7日間培養することが可能であった。 2.正常ヒト表皮角化細胞(EPI-100,KURABO)を37℃、95%air/5%C02環境下で3次元培養し、GTCM 100μl添加した。同時にEGFを1ng/ml、5ng/ml、10ng/mlと各モデルで濃度を変え添加した。GTCM/EGF添加24時間後に10%ホルマリンを用い、室温で一晩固定後、パラフィン包埋し、6μmの厚さで切片を作製した。 3.免疫組織化学的手法を用い、真珠腫性中耳炎に特徴的なサイトケラチン(サイトケラチン13および16)の発現を調べた結果、サイトケラチン13は基底層に、サイトケラチン16は有棘層、顆粒層に部分的にみられた。EGFの濃度差による違いは明らかではなかった。 今後の研究の展開 現在まで行った細胞培養ではサイトケラチンパターンが真珠腫性中耳炎に特異的なものではなかった。今後はEGF以外の各種成長因子(IL-1、IL-6、TNF-α、TGF-β)を種々の濃度で、単独あるいは複数添加し、重層構造を持つ新しい真珠腫性中耳炎モデルを作製する。
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