研究課題/領域番号 |
12770969
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡野 光博 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (60304359)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アレルブン / T細胞 / エピトープ / 糖鎖 / IL-4 / IL-5 / IFN-Y / スギ花粉 / アレルゲン / クローン / サイトカイン |
研究概要 |
1.抗原の調整 Cryj1は安枝らの方法に従って精製した。Cryj1を構成する糖鎖は、ペリオデートによる酸化開裂処理にて行った。Cryj1のT細胞エピトープペプチドを認識するモノクローナル抗体との結合試験によって、ペリオデート処理にてCryj1のペプチド部分、特にT細胞エピトープ部分の抗原性に変化がないことを確認した。 2.末梢血単核細胞のCryj1構成糖鎖に対する応答 研究の目的を十分に説明し、同意を得た後に、16名のスギ花粉症患者より末梢血単核細胞の提供を受けた。これらの細胞は種々の濃度の天然型、ペリオデート処理、およびモック処理Cryj1とともに培養し、リンパ球増殖反応およびサイトカイン産生反応を比較した。その結果、ペリオデート処理Cryj1に対する末梢血単核細胞の増殖応答、IL-5産生は天然型およびモック処理Cryj1による場合と比較して、有意に低下していることが判明した。 3.Cryj1特異的T細胞株・クローンの樹立およびCryj1構成糖鎖に対する応答 7名の患者からCryj1特異的T細胞株を樹立し、さらに3名の患者より計19株のT細胞クローンを樹立した。樹立したクローンはいずれもCD4陽性であった。これらのT細胞の天然型、ペリオデート処理、およびモック処理Cryj1に対する応答性を検討した。末梢血単核細胞の場合と同様に、ペリオデート処理Cryj1に対する特異的T細胞の増殖応答は、天然型およびモック処理Cryj1による場合と比較して、有意に低下していた。しかしながら、樹立した19株のクローンのうち18株(94.7%)はペリオデート処理Cryj1に対する増殖応答は低下したものの、Stimulation Indexが2を超える有意な応答を示した。 4.マンノースレセプターの特異的応答への関与 抗マンノースレセプター抗体を用いてCryj1特異的T細胞応答がマンノースレセプターを介するものか検討した。抗マンノースレセプター抗体は特異的T細胞応答を阻害することなく、T細胞へのマンノースレセプターの関与は否定的であった。 5.まとめ Cryj1を構成する糖鎖はそれ自身がT細胞エピトープとなる頻度は低いものの、特異的T細胞応答に促進的に関与することが示唆された。本研究はスギ花粉症の病態形成を解明する上で糖鎖の重要性を認識させるものであり、その結果はアレルギー学の世界的トップジャーナルであるJournal of Allergy and Clinical Immunologyに採択された。
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