研究課題/領域番号 |
12771031
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
上甲 武志 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60304630)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 硝子体出血 / 鉄イオン / 糖尿病網膜症 / ヘモグロビン代謝 |
研究概要 |
平成12年度研究実績報告書では、糖尿病網膜症に合併した硝子体出血の吸収は、無硝子体眼では有硝子体眼より硝子体出血の吸収が早いことを報告した。その原因として有硝子体眼ではヘモグロビンの代謝的分解反応が遅いのに対して、無硝子体眼ではビリルビンヘの代謝が促進していることがあげられる。 平成13年度はまず硝子体出血後に、硝子体中に遊離される鉄イオン濃度の測定を試みた。遊離鉄イオンは強い活性酸素産生作用を有するため、硝子体出血が吸収されても視力の回復が悪いのは、上昇した鉄イオンによる網膜障害が生じるという仮説を証明するためである。硝子体中の遊離鉄濃度の測定は愛媛大学理学部機器センターに設置されている誘導結合プラズマ質量分析装置(パーキンエルマー社・Optima 3000,ELAN6000)を用いた。その原理は高周波誘導によって励起されたアルゴンプラズマ中に試料を注入するとイオン化され、そのイオン量を計測して鉄元素量とするものである。結果は、出血のない有硝子体眼の硝子体鉄濃度は0に近かったが、硝子体出血を認めた有硝子体眼および無硝子体眼ではいずれも硝子体鉄濃度は高値を示し差を認めなかった。硝子体の遊離鉄濃度の由来はヘモグロビンだけでなく、赤血球や網膜細胞に存在する電子伝達系の構成成分で、ヘム蛋白であるチトクロムなどから放出された遊離鉄の影響もあると考えられた。 硝子体出血の実験モデル作成については、ラットの硝子体腔に赤血球を注入したが、動物モデル作成にはいたらなかった。その理由として硝子体の液化がすすんでいないため血液が拡散しにくかったことと、自傷による感染などヒト硝子体出血に類似した病態を再現することは困難であった。
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