研究概要 |
基剤に熱応答ゲルを使用したIL-1αを白色ラット雌の右眼前房内に(500unitst)30μlを1回のみ、もしくは反復投与を行い、投与前と投与後、1、3、7日目、以後2週間毎に最長12週までの眼圧測定を行った.左眼をコントロール眼とし、基剤のみを同量前房内に注入した。眼圧はTONO-PEN^RXL(MENTOR社)を用いた.その後、ラットをペントバルピタールナトリウム(ネシブタール^R)の大量腹腔内投与を行ったうえで安楽的に屠殺し、抜眼した.眼球は4%ホルマリンで固定後、パラフィン包埋し厚さ3μm_の組繊,切片を作製し、得られた組織切片をH.E染色、抗MMP-1、2、3抗体で免疫染色し、光学顕微鏡で観察後、写真撮影した。また、2.5%グルタールアルデヒド+2%ホルマリンの混合固定液で固定した組織は,エポン包埋し厚さ3μm_の組織切片を作製し、得られた組臓切片を電子顕微鏡で観察後、写真撮影した.結果1)IL-1α前房内投与による眼圧の変化では、IL-1αの初回投与にて6週間にわたり有意な眼圧下降が得られた。再投にても同様の結果が得られた。 2)線維柱帯を含む隅角部の組織像(H.E)では、IL-1α投与群ではコントロール郡に比べ、前房内に軽度の炎症細胞がみられた。線維柱帯細胞外マトリックスの染色性は低下しており、ビーム構造が消化され、粗造となった。3)線維柱帯を含む隅角部の免疫組織化学染色像では、IL-1α投与群ではコントロール群に比べ、6週間にわたりMMP-1が強く発現していた。 考察 IL-1αの前房内投与により長期間有意な眼圧下降が得られた。この事はIL-1αがMMPを誘導し細胞外マトリックスの消化および房水流出抵抗の減少に関与したものと思われる。また隅角部においてはMMP-1が強く発現しており、MMP-1が組織の再構築や房水流出抵抗の調整をしている可能性を示唆している。
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