研究課題/領域番号 |
12771040
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
丸山 幾代 札幌医大, 医学部, 助手 (90305235)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 緑内障 / 視神経 / 網膜神経節細胞 / 自己免疫 / 自己抗体 / アポトーシス / 神経特異エノラーゼ |
研究概要 |
目的:原発開放隅角緑内障(POAG)および正常眼圧緑内障(NTG)における血清網膜自己抗体と病態との係わりについて検討した。また、自己抗体の網膜への影響について、ラット網膜を用いて、組織学的および電気生理学的に検討した。 対象と方法:当科緑内障外来通院中のPOAG56例、NTG23例が対象である。血清中自己抗体の検出にはウエスタンブロット法を用いた。 結果:網膜神経節細胞に特異的な50kDa抗原に対する自己抗体がPOAGおよびNTGの約20%に認められた。免疫組織化学で、これらの患者血清は網膜神経節細胞を特異的に認識した。またPOAGでは、自己抗体を有する患者の最高眼圧は、有しない患者のそれに比べて有意に低かった。しかし、両群において視野障害の分布に、差は認められなかった。次に、蛋白質化学的手法により網膜50kDa抗原の同定を行い、50kDa抗原はneuron specific enolase(NSE)であることが判明した。患者IgGまたは抗NSE抗体をラットに投与したところ、網膜神経節細胞のアポトーシスおよび網膜電位図においてb波の低下が認められた。 考按:網膜神経節細胞に特異的な50kDa抗原に対する自己抗体がPOAGおよびNTGの約20%に認められ、自己抗体の存在するPOAGでは低い眼圧経過でも視野障害が進行する傾向があった。緑内障患者にみられた網膜50kDa抗原はNSEであり、これに対する自己抗体が網膜神経節細胞のアポトーシスを誘導することが示唆された。 結論:NSEに対する自己抗体が、POAGやNTGの分子病態(網膜神経節細胞のアポトーシスに関係している可能性が示唆された。
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