研究概要 |
目的;高脂血症による生体内の変化はこれまでも様々と報告され、我々もアクリジンオレンジデジタルフルオログラフィーを用いて,高脂血症による網膜血管内皮-白血球間の動態異常をin vivoで観察した.そこで免疫組織学的方法を用い、ラット網膜血管におけるP-セレクチン,ICAM(intracellular adhesion molecules)-1の局在について検索する. 材料と方法;生後6週の有色ラットにコントロール食(0.1%コレステロール含有)と高コレステロール食(5%コレステロール含有)をそれそれ8週間与えコントロールモデルとコレステロールモデルを作製する.ラットをキシラジンとケタミンを筋肉内に投与することにより麻酔をかけ、4%パラフォルムアルデヒド,0.1mol/dl PbSからなる組織固定液で灌流固定しラット眼球を摘出後、さらに1週間固定する.脱水,パラフィン包埋し,4μmの切片を作成する.作成した切片に抗P-セレクチン抗体,抗ICAM-1抗体を用いて,sABC(Streptoavidin Biotin Complex)法により免疫染色を行い光学顕微鏡で網膜および脈絡幕血管内皮の染色性を観察検討する。 結果;P-セレクチンは、高コレステロールモデルの網膜血管内皮に発現していたが、コントロールモデル群では発現していなかった。また、ICAM-1はコントロールモデル、高コレステロールモデル群で観察されたが、コントロールモデルでは少量で、高コレステロール群においては非常に多く存在していた。 結論;高脂血症による網膜内血管内皮-白血球間の粘着能の亢進には、P-セレクチンとICAM-1の網膜血管内皮への発現が関与していると考えられた。
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