研究概要 |
1.アトピー様皮膚炎モデルマウスにおいて角結膜組織に生じるアレルギー炎症の検討 【目的】アトピー様皮膚炎自然発症マウス(NC/Ngaマウス)を用い,アトピー様皮膚炎発症前後の眼瞼皮膚と角結膜組織を病理組織学的に検討する.【方法】Conventional環境下で飼育した4週齢(皮膚炎発症前)および10週齢(皮膚炎発症後)のNC/Ngaマウスから眼瞼および眼球を摘出し,組織学的に検討した.【結果】アトピー様皮膚炎を発症した10週齢マウスでは,眼瞼皮膚組織中にCD4陽性リンパ球、好酸球の増加が認められ,アレルギー炎症と類似した所見がみられた.また,皮下組織に比べて軽度ではあったが,結膜下組織にマスト細胞の増加と脱顆粒像の増加がみられ,CD4陽性リンパ球が増加した.しかし,好酸球の浸潤は結膜下組織には認められず,炎症反応は眼瞼皮膚と比べ軽度であった.【結論】NC/Ngaマウスにおいて,皮膚炎発症に伴ってマスト細胞の増加がみられたが,他のI型アレルギー反応を惹起させたアレルギー性結膜炎動物モデルとは異なる反応であり,マスト細胞の増加がアトピー様変化を生じる重要な因子であることが示唆された. 2.アトピー様皮膚炎モデルマウスにおける角結膜組織中マスト細胞数の検討 【目的】アトピー性皮膚炎の合併した角結膜組織中のマスト細胞数を検討する.【方法】Conventional環境下で飼育した4週齢(皮膚炎発症前)および10週齢(皮膚炎発症後)のNC/Ngaマウスから眼瞼および眼球を摘出し組織学的検索を行った後,結膜組織中のマスト細胞数について検討する.【結果】アトピー様皮膚炎発症前において、皮下および結膜下にわずかにマスト細胞がみられ、皮膚炎発症後では、特に皮下組織の粘膜筋板を中心にマスト細胞が増加した.マスト細胞数の増加は,10週齢において有意(P<.001)に増加していた.【結論】角結膜のアトピー様変化には,マスト細胞数が深く関与している可能性がある.
|