平成12年度においてラット同種同系小腸移植モデルにおけるbombesin投与の効果の形態学的解析を行い、中枢神経の支配からは独立している移植グラフトにおいてもbombesinが粘膜の萎縮を予防することを解明した。さらにそのメカニズムとして、bombesinがcrypt cellの増殖を促進すること解析した。すなわち、中枢神経系に存在する神経ペプチドが小腸の粘膜固有層のリンパ球を維持し、小腸粘膜上皮の再生部位であるcrypt cellの増殖を促すことによって移植グラフトの粘膜萎縮が予防されていることを解明した。この成果はVllth Internationol Small Bowel Transplantation Symposium(Stockholm. Sweden.2001)にて発表し、Transplantation Proceedingsに掲載されることが決定した。 本年度は上記の成果を踏まえて、本研究の主題であるラット同種異系小腸移植モデルにおいて、FK506投与下での細胞性免疫抑制下で神経ペプチドであるbombesinが同種同系移植グラフと同様の効果を持つかを検討した。 (研究成果)ラット同種異系小腸移植モデルを作成し少量のFK506投与(0.32mg/kg/day)による免疫抑制下で同様の実験を行ったところ、bombesin投与群ではFK506単独投与群に比較し、小腸絨毛および粘膜固有層のリンパ球を維持し、同系モデル同様crypt cellの増殖をも促すことも解明された。この結果は未発表であるが、本研究により、拒絶反応が起こる同種異系小腸移植モデルにおいても、bombesinが移植グラフトの萎縮を防ぎ、拒絶反応を悪化させずにそのviabilityを維持できることが解明された。
|