研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcomitansの産生するコンゴレッド結合タンパク 研究の目的: ヒトに病原性を示すグラム陰性桿菌であるShigella flexneri, Yersinia pestis, Aeromonas salmonicidaなどでは、コンゴレッド色素と菌体との結合がこれらの細菌の病原性である侵入因子や鉄獲得性に深く関わることが示されている。私共は、そのような病原因子の追求のために、A.actinomycetemcomitansとコンゴレッドの結合性について検討してきた。そこで、本研究では、このコンゴレッド結合成分をタンパク質及び遺伝子レベルからこの因子の解析を行い、このタンパク成分が歯周局所でどのような役割を担い、また病原性とどう関係しているのかを解明することを目的とする。 方法:A.actinomycetemcomitans SUNY465はBrain heart infusion broth (Difco社)にyeast extractを0.4%加えたものを標準培地とし37℃で2日間5%CO2下で大量培養し遠心により菌体を集めた。膜画分は0.01M EDTA添加したPBSに懸濁し25ゲージ針を2回通過させ、遠心後上清を透析して得た。また膜画分はCHAPSなどの界面活性剤を用いて活性成分を可溶化させた。Congo red結合性は、集菌菌体をPBSに懸濁しCongo redを最終濃度50μg/mlになるように添加した。これを37℃で30分反応させた後遠心しその上清の488nmの吸光度を測定し結合性を決定した。Congo red結合性はSDS-PAGEによっても解析した。 成績及び考察: SDS-PAGEで解析した結果、分子量35KDa付近にCongo red結合したバンドを認めた。Congo red結合活性はプロテアーゼ処理により消失したためタンパク成分であると考えられる。菌体及び膜画分のCongo redとの結合性は鉄制限下培養と通常培養との違いは認められなかった。Heminによる前処理は菌体へのCongo redの結合を阻害した。またプロテインシークエンサーを用いてCongo red結合タンパクのN末端からアミノ酸配列を解析を行った。
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