研究概要 |
平成12年度は,顎堤の三次元的増大術を行うための空間確保が最大の問題点となった.そこで,一昨年前認可が下りたMOD Distractor(martin社製)の導入により,平成13年度は十分な空間確保のもと実験を行うことができた. 実験には,雄成熟ビーグル犬を3頭用いた.それぞれは,事前に両側下顎第1前臼歯から第4前臼歯の抜歯処置を行い,3ヶ月以上経過したものである.全身麻酔下において,長さ3cm,高さ5mmの歯槽骨を離断させMOD Distractorを装着した.両側の施術後,一方にはβ-TCPにGDF-5をコーティングしたものを離断部に入れ,もう一方には何も入れない状態で縫合した.MOD Distractorは,挙上用のネジが傷外にあり、それを回し1日0.6mmずつ挙上させた.6mmまで挙上させた段階で挙上を止め,2ヶ月間の固定期間を終了の後,灌流固定を行い試料を摘出.リゴラック樹脂により包埋後,研磨標本を作製した. 評価法は,CMRによる画像解析により単位面積あたりの新生骨量の測定および,塩基性フクシンメチレンブルー重染色法による新生骨の観察を行った. 結果として,何も入れない側に比べて,β-TCPにGDF-5をコーティングしたものを入れた側の単位面積あたりの骨形成量は,危険率0.5%で有意に高かった.また,新生骨の形成状態も何も入れない側に比べて,多くの骨形成量が得られている事が認められた. 今後の展望として,通常よりも早い骨形成効果が得られれる事がはっきりとしたならば,無歯顎補綴の一つとしてのインプラント治療を行う症例の幅が広がることが期待できる.
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